【Windows向け】 Powershellの操作について
学習の目標
本章では、Windowsにおけるコマンドラインツールの基本と操作方法を学びます。プログラミングでは「黒い画面」と呼ばれるコマンドラインツールを使用することが多いため、その基本操作を身につけることが重要です。
はじめに
プログラミングの世界では、マウスを使わずにキーボードからコマンドを入力して操作する「黒い画面」をよく使用します。この「黒い画面」は開発に欠かせないツールであり、Windowsでは主に3種類あります。
- コマンドプロンプト(cmd):Windowsの基本的な黒い画面
- PowerShell:より高機能な黒い画面
- VS Codeのターミナル:エディタの中で使える黒い画面(PowerShellベース)
「コマンドプロンプト」「PowerShell」「ターミナル」という用語は、いずれもコマンドを入力するための画面を指します。本講座では「ターミナル」という用語を使用しますが、実際には「PowerShell」を指していることが多いです。
特に注意すべき点として、Rubyのインストール時のみ、「コマンドプロンプト」を使用します。それ以外の開発作業では主に「PowerShell」や「VS Codeのターミナル」を使います。
それぞれの特徴と使い分け
各ターミナルには用途に応じた特徴があります。ここでは、それぞれの特徴と使い分けについて説明します。
コマンドプロンプト
コマンドプロンプトは、Windowsに標準搭載されている最も基本的なターミナルです。シンプルで古くからある機能ですが、Rubyのインストールなど一部の作業では必要になります。
プロンプトの表示例:C:\Users\yourname>
PowerShell
PowerShellは、Windowsの高機能なターミナルで、コマンドプロンプトよりも多くの機能を持っています。青い背景で表示されることが多く、より複雑な処理が可能です。開発作業では主にこちらを使用します。
プロンプトの表示例:PS C:\Users\yourname>
VS Codeのターミナル
VS Code(Visual Studio Code)内で使用できるターミナルで、基本的にはPowerShellがベースとなっています。コードを書きながら同時にコマンドを実行できるため、開発作業時に非常に便利です。
それぞれの起動方法
ターミナルを使用するにはまず起動する必要があります。ここでは、各ターミナルの起動方法を説明します。
コマンドプロンプトの起動手順
- Windowsキー + Rを押す(「ファイル名を指定して実行」ダイアログが開きます)
- 「cmd」と入力してEnterを押す
PowerShellの起動手順
- Windowsキー + Rを押す
- 「powershell」と入力してEnterを押す
別の方法として、Windowsの検索ボックスに「PowerShell」と入力して起動することもできます。
VS Codeのターミナルの起動方法
- VS Codeを起動する
- メニューから「表示」→「ターミナル」を選択
- または「Ctrl + @」のショートカットを使用
画面の見方を理解しよう
各ターミナルには、最初に表示される部分があります。この部分を理解することで、コマンドをどこに入力すべきかが分かります。
# コマンドプロンプトの場合
C:\Users\yourname>
# PowerShellの場合
PS C:\Users\yourname>
# VS Code のターミナルの場合(PowerShellベース)
PS C:\Users\yourname>
これらの表示を「プロンプト」と呼びます。プロンプトは自動的に表示される部分であり、ユーザーが入力する必要はありません。
プロンプトの後ろで点滅している部分を「カーソル」と呼び、ここにコマンドを入力します。カーソルの位置がコマンドを入力する場所です。
コマンド入力の例
実際にコマンドを入力してみましょう。以下は簡単なコマンド入力の例です。
# 入力例(実際のプロンプトはパソコンごとに異なります)
C:\Users\yourname> echo Hello
Hello
この例では、「echo Hello」というコマンドを入力しています。「echo」は入力した文字を表示するコマンドです。Enterキーを押すと「Hello」と表示されます。
入力を間違えた時は
コマンドを入力する際に間違えてしまった場合、以下のキーを使って修正できます。
- BackSpaceキー:カーソルの左側の文字を1文字削除します
- Escキー:入力中の行を全て削除します
- 左右の矢印キー:カーソルを移動して特定の位置の文字を修正できます
便利な入力テクニック
ターミナルでの作業効率を上げるために、以下の便利な入力テクニックを覚えておきましょう。
上下キーで履歴を使用
一度入力したコマンドを再度使用したい場合、上下の矢印キーを使って過去に入力したコマンドを呼び出すことができます。
- 上矢印キー:1つ前に入力したコマンドを表示
- 下矢印キー:より新しいコマンドを表示(上矢印で戻った後に使用)
タブキーで補完
ファイル名やフォルダ名を入力する際、途中まで入力してTabキーを押すと、残りの部分を自動的に補完してくれます。これにより、長いファイル名やフォルダ名を全て入力する手間が省けます。
例:
C:\Users\yourname> cd Doc[Tabキーを押す]
C:\Users\yourname> cd Documents
よくあるエラーと対処法
「'xxx' は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。」
このエラーは、入力したコマンドが存在しないか、Windowsがそのコマンドを見つけられない場合に表示されます。
対処法:
- コマンドの綴りが正しいか確認する
- 必要なプログラムがインストールされているか確認する
- PATHが正しく設定されているか確認する(上級者向け)
「アクセスが拒否されました」
このエラーは、実行しようとしたコマンドに必要な権限がない場合に表示されます。
対処法:
- 管理者として実行する(PowerShellを右クリックし「管理者として実行」を選択)
- ファイルやフォルダのアクセス権限を確認する
ターミナルの終了方法
ターミナルを終了する方法は以下の通りです。
- ウィンドウ右上の「×」ボタンをクリックする
exit
コマンドを入力してEnterを押す
VS Codeのターミナルの場合は、ターミナルパネルの右上にあるゴミ箱アイコンをクリックすることでも終了できます。
まとめ
Windowsのターミナルには3種類あり、基本操作は共通です。
- コマンドプロンプト:Rubyインストール用の基本画面
- PowerShell:高機能な青背景の画面
- VS Codeのターミナル:VS Code内のPowerShell
共通の基本操作:
- プロンプト後方にコマンドを入力
- Enterキーで実行
- 上下キーで履歴呼出
- タブキーで入力補完
- BackSpaceキーやEscキーで修正
これらの基本操作を理解することで、プログラミング学習をスムーズに進めることができます。最初は慣れないかもしれませんが、使っていくうちに自然と操作できるようになるので、ぜひ練習してみてください。