JavaScriptとは?基本的な特徴を理解しよう
学習の目標
本章では、以下の内容を学習します。
- JavaScriptがプログラミング言語として持つ特徴と役割を理解する
- WebブラウザでのJavaScriptの動作原理とHTML・CSSとの関係を学ぶ
- JavaScriptを使って実現できる具体的な機能を知る
- 他のプログラミング言語との違いと、JavaScriptを学ぶメリットを理解する
はじめに
プログラミングを学ぼうと思ったとき、最初に耳にするのが「JavaScript」という言葉かもしれません。でも、「JavaScriptって一体何なの?」「何ができるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、JavaScriptは私たちが日常的に使っているWebサイトのほぼすべてで使われている、とても身近なプログラミング言語なのです。みなさんがWebサイトでボタンをクリックしたり、フォームに文字を入力したり、写真をスライドで見たりするとき、その裏側でJavaScriptが動いています。
この章では、JavaScriptとは何か、どんな特徴があるのか、そして私たちの身の回りでどのように使われているのかを、初心者の方にも分かりやすく説明していきます。
プログラミング言語としてのJavaScriptの役割
プログラミング言語とは何か
まず、プログラミング言語について簡単に説明しましょう。コンピューターは、実は人間の言葉を直接理解することができません。コンピューターに何かをしてもらうためには、コンピューターが理解できる特別な言葉で指示を出す必要があります。
その「コンピューターとの会話に使う言葉」がプログラミング言語です。プログラミング言語を使って書かれた指示書のことを「プログラム」と呼びます。
JavaScriptの基本的な役割
JavaScriptは、Webサイトに動きや機能を与えるためのプログラミング言語です。例えば、以下のような場面でJavaScriptが活躍しています。
Webサイトで「お問い合わせ」ボタンをクリックしたとき、ポップアップ画面が表示されることがありますよね。これはJavaScriptがボタンのクリックを検知して、新しい画面を表示するという指示を実行しているからです。
また、ショッピングサイトで商品をカートに入れるとき、ページ全体を更新することなく「カートに追加されました」というメッセージが表示されることもあります。これもJavaScriptの働きによるものです。
つまり、JavaScriptは「Webサイトをより便利で使いやすくする」という重要な役割を担っているのです。
JavaScriptが生まれた背景
JavaScriptは1995年に生まれました。当時のWebサイトは、今とは違って文字と画像だけの静的なページがほとんどでした。まるで紙の雑誌のように、情報を見ることはできても、ユーザーが何かアクションを起こしても反応しない状態だったのです。
しかし、インターネットが普及するにつれて、「もっと使いやすいWebサイトを作りたい」「ユーザーとやり取りできるWebサイトにしたい」という需要が高まりました。そこで開発されたのがJavaScriptです。
JavaScriptの登場により、Webサイトは単なる情報表示の場から、ユーザーと対話できる動的なアプリケーションへと進化することができました。
Webブラウザでの動作とHTML・CSSとの関係
WebサイトはHTML・CSS・JavaScriptの3つで構成される
Webサイトを作るときに使われる技術は、主に3つあります。それぞれ異なる役割を持っており、この3つが組み合わさることで、私たちが普段見ているWebサイトが完成します。
**HTML(エイチティーエムエル)**は、Webページの「構造」を作る技術です。「ここに見出しを置く」「ここに段落を置く」「ここにボタンを置く」といった、Webページの骨組みを決めます。家を建てるときの「設計図」のような役割です。
**CSS(シーエスエス)**は、Webページの「見た目」を決める技術です。「見出しを大きく表示する」「ボタンを青色にする」「背景に画像を表示する」といった、デザインやレイアウトを担当します。家を建てるときの「内装工事」のような役割ですね。
JavaScriptは、Webページに「動き」を与える技術です。「ボタンをクリックしたら何かを表示する」「フォームに入力された内容をチェックする」といった、ユーザーの操作に反応する機能を実現します。
家づくりに例えてみましょう
この3つの関係を、家づくりに例えて考えてみましょう。
- HTML → 家の骨組み(柱や壁の配置)
- CSS → 家の装飾(壁紙や照明、家具の配置)
- JavaScript → 家の設備(電気のスイッチ、自動ドア、エアコンのリモコンなど)
HTMLで部屋の配置を決め、CSSで美しく装飾し、JavaScriptで便利な機能を追加することで、快適で使いやすいWebサイトが完成するのです。
ブラウザでのJavaScriptの実行
私たちがWebサイトを見るときに使うソフトウェアを「Webブラウザ」と呼びます。Chrome、Safari、Firefox、Edgeなどが代表的なWebブラウザです。
JavaScriptは、このWebブラウザの中で実行されます。Webサイトにアクセスすると、ブラウザはHTML、CSS、JavaScriptのファイルをダウンロードし、JavaScriptのプログラムを実行します。
この仕組みがあることで、私たちは特別なソフトウェアをインストールしなくても、WebブラウザさえあればあらゆるWebアプリケーションを使うことができるのです。
JavaScriptでできることの具体例
ユーザーの操作に反応する機能
JavaScriptを使うと、ユーザーの様々な操作に反応するWebサイトを作ることができます。
例えば、マウスをボタンの上に載せると色が変わったり、クリックすると新しいウィンドウが開いたりする機能です。オンラインショッピングサイトで商品画像にマウスを載せると画像が拡大表示される機能も、JavaScriptによって実現されています。
また、フォームに文字を入力するとき、「この項目は必須です」といったメッセージをすぐに表示することもできます。これにより、ユーザーは送信ボタンを押す前に入力ミスに気づくことができ、より快適にWebサイトを利用できます。
データの計算と処理
JavaScriptは計算処理も得意です。例えば、ローン計算機やBMI計算機、税金計算機などのWebアプリケーションは、ユーザーが入力した数値をJavaScriptが受け取り、計算結果を即座に表示します。
オンラインゲームでスコアを計算したり、アンケートフォームで回答を集計したりする機能も、JavaScriptによって実現されています。
時間に関する処理
JavaScriptは時間を扱うことも得意です。現在の日時を表示したり、カウントダウンタイマーを作ったり、定期的に情報を更新したりする機能を作ることができます。
例えば、ニュースサイトで「○分前に更新」という表示を見たことがあるでしょう。これもJavaScriptが現在時刻と記事の投稿時刻を比較して、自動的に表示を更新している結果です。
外部サービスとの連携
JavaScriptは、他のWebサービスと連携する機能も持っています。例えば、天気情報を取得して表示したり、地図サービスと連携して位置情報を表示したりすることができます。
TwitterやFacebookの投稿をWebサイトに埋め込んだり、YouTubeの動画を表示したりする機能も、JavaScriptを使って実現されています。
スマートフォンアプリの開発
最近では、JavaScriptを使ってスマートフォンアプリを開発することも可能になりました。Web技術で作ったアプリを、iPhoneやAndroidのアプリとして配布することができるのです。
これにより、一つのプログラムでWebサイト、iPhoneアプリ、Androidアプリすべてを作ることができるようになりました。
できること | 具体例 |
---|---|
ユーザー操作への反応 | ボタンクリック、マウスオーバー効果 |
計算・データ処理 | 計算機、フォーム入力チェック |
時間に関する処理 | リアルタイム時計、カウントダウン |
外部サービス連携 | 天気情報取得、地図表示 |
アプリ開発 | スマートフォンアプリ、デスクトップアプリ |
他のプログラミング言語との違い
プログラミング言語にはたくさんの種類がある
世の中には、JavaScript以外にもたくさんのプログラミング言語があります。Python(パイソン)、Java(ジャバ)、Ruby(ルビー)、PHP(ピーエイチピー)など、それぞれ異なる特徴と得意分野を持っています。
これは、調理に使う道具に例えることができます。包丁、フライパン、オーブンなど、それぞれ得意な調理法があるように、プログラミング言語もそれぞれ得意な分野があるのです。
JavaScriptの特徴的な違い
ブラウザで直接実行できる
JavaScriptの最大の特徴は、Webブラウザがあればすぐに実行できることです。他の多くのプログラミング言語は、特別なソフトウェアをインストールしてから使う必要がありますが、JavaScriptはブラウザさえあれば動作します。
これは、楽器を演奏することに例えられます。ピアノを弾くには実際のピアノが必要ですが、JavaScriptは「どの家にもあるピアノ」のような存在なのです。
文法が比較的理解しやすい
JavaScriptは、英語に近い文法で書くことができるため、プログラミング初心者でも理解しやすい言語です。例えば、「もしも~なら」という条件分岐を書くときも、英語の「if」という単語をそのまま使います。
すぐに結果を確認できる
JavaScriptで書いたプログラムは、ブラウザですぐに結果を確認することができます。他の言語では、プログラムを書いてから実行するまでに複雑な手順が必要な場合もありますが、JavaScriptは書いたその場で動作確認ができます。
これは料理をしながら味見ができることに似ています。調理の途中で味を確認しながら調整できるため、初心者でも失敗しにくいのです。
なぜJavaScriptから学習を始めるのがおすすめなのか
目に見える結果が得られる
JavaScriptで作ったプログラムは、Webブラウザ上で目に見える形で結果を確認できます。ボタンをクリックして何かが表示されたり、色が変わったりする様子を実際に見ることで、「プログラミングができている」という実感を得やすいのです。
学習環境の構築が簡単
特別なソフトウェアをインストールする必要がないため、学習を始めるハードルが低いです。パソコンとブラウザがあれば、今すぐにでもJavaScriptの学習を始めることができます。
応用範囲が広い
JavaScriptを覚えると、Webサイト開発だけでなく、スマートフォンアプリ開発やデスクトップアプリ開発にも応用できます。一つの言語を覚えることで、様々な分野に挑戦できるのは大きなメリットです。
需要が高い
現在、ほぼすべてのWebサイトでJavaScriptが使われているため、JavaScriptを使えるプログラマーの需要は非常に高いです。転職や副業を考えている方にとっても、習得する価値の高いスキルと言えるでしょう。
まとめ
本章では、JavaScriptの基本的な特徴について学習しました。以下のポイントを理解できたことと思います。
- JavaScriptは、Webサイトに動きや機能を与えるプログラミング言語である
- HTML、CSS、JavaScriptの3つが組み合わさることで、現代的なWebサイトが作られる
- JavaScriptはWebブラウザ内で実行され、ユーザーの操作に反応する機能を実現できる
- 計算処理、時間処理、外部サービス連携など、幅広い機能を作ることができる
- 他のプログラミング言語と比べて、学習を始めやすく、すぐに結果を確認できる特徴がある
JavaScriptは、プログラミング初心者の方にとって最初に学ぶのに適した言語です。この特徴を理解したうえで、実際にJavaScriptを書いて動かしてみることで、プログラミングの楽しさを実感していただけることでしょう。
次からは、実際にJavaScriptを書いて動かすための環境構築について学んでいきます。