コメントの書き方を学ぼう
学習の目標
本章では、以下の内容を学習します。
- 一行コメント(
//
)の書き方と使い方を理解する - 複数行コメント(
/* */
)の書き方と使い方を習得する - コメントを書くタイミングと意識を学ぶ
- 読みやすいコードのためのコメント活用方法を身につける
はじめに
プログラムを書いていると、「このコードは何をしているのか」「なぜこう書いたのか」といった説明を残したくなることがあります。
また、一時的にコードの実行を止めたい場合もあるでしょう。
JavaScriptでは、コメントという機能を使って、コードに説明を追加したり、一部のコードを実行させないようにしたりできます。
コメントは実際にプログラムが動く時には無視されるため、日本語で説明を書いても問題ありません。
それでは、JavaScriptでコメントを書く方法を学んでいきましょう。
一行コメント(//)の使い方
基本的な一行コメントの書き方
JavaScriptで最もよく使われるコメントは、//
(スラッシュ2つ)で始まる一行コメントです。
VS Codeで新しいファイルを作成してみましょう。
comment_practice.html
というファイルを作成し、以下のコードを入力してください。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>コメント練習</title>
</head>
<body>
<h1>JavaScriptコメント練習</h1>
<script>
// これはコメントです
console.log("Hello, World!");
// console.log("この行は実行されません");
console.log("ブラウザのコンソールを確認してください");
</script>
</body>
</html>
実行結果:
Hello, World!
ブラウザのコンソールを確認してください
このHTMLファイルをブラウザで開き、開発者ツールのコンソールを確認してみましょう。
//
で始まる行は実行されず、コンソールには「Hello, World!」と「ブラウザのコンソールを確認してください」だけが表示されるはずです。
//
の後に書かれた内容は、JavaScriptの実行時に完全に無視されます。
これにより、コードの動作に影響を与えることなく、説明や注意点を記述できます。
コードの行末にコメントを追加する
コメントは新しい行に書くだけでなく、実際のコードの後ろに書くこともできます。
先ほどのHTMLファイルの<script>
タグ内を以下のように修正してみましょう。
<script>
let userName = "田中"; // ユーザーの名前を保存
let userAge = 25; // ユーザーの年齢を保存
console.log("名前: " + userName); // 名前を表示
console.log("年齢: " + userAge); // 年齢を表示
</script>
実行結果:
名前: 田中
年齢: 25
このように、コードの右側にコメントを書くことで、そのコードが何をしているのかを説明できます。
ファイルを保存してブラウザを更新し、コンソールで結果を確認してみてください。
コメント部分は表示されず、実際のコードのみが実行されることが分かります。
一時的にコードを無効にする
開発中に「このコードを一時的に動かしたくない」という場面があります。
そんな時も、//
を使ってコードをコメントアウト(無効化)できます。
<script>
let score = 85;
console.log("テストの点数: " + score);
// console.log("この表示は一時的に止めています");
// let bonus = 10;
// console.log("ボーナス点: " + bonus);
console.log("コメントアウトの練習完了");
</script>
実行結果:
テストの点数: 85
コメントアウトの練習完了
上記のコードでは、真ん中の3行がコメントアウトされているため、実行されません。
後でこの機能を有効にしたい時は、//
を削除するだけで済みます。
複数行コメント(/* */)の使い方
複数行コメントの基本的な書き方
長い説明や複数行にわたる注意点を書きたい場合は、/*
で始まり*/
で終わる複数行コメントが便利です。
先ほどのHTMLファイルの<script>
タグ内を以下のように修正してみましょう。
<script>
/*
このプログラムは学生の成績を管理するシステムです。
以下の機能があります:
1. 学生の名前を保存
2. テストの点数を保存
3. 結果をコンソールに表示
*/
let studentName = "山田";
let testScore = 78;
console.log("学生名: " + studentName);
console.log("点数: " + testScore);
/*
メモ: 後で以下の機能を追加する予定
- 複数の学生を管理
- 平均点の計算
- 成績の評価(A、B、C)
*/
</script>
実行結果:
学生名: 山田
点数: 78
複数行コメントを使うことで、改行を含む長い説明を書くことができます。
プログラムの概要説明や、将来の改善予定などを記述する際によく使われます。
複数行のコードをまとめてコメントアウトする
複数行コメントは、複数行のコードを一度にコメントアウトしたい時にも使えます。
<script>
let itemName = "りんご";
let itemPrice = 150;
console.log("商品名: " + itemName);
console.log("価格: " + itemPrice + "円");
/*
// 以下の機能は開発中のため一時的に無効化
let taxRate = 0.1;
let totalPrice = itemPrice * (1 + taxRate);
console.log("税込価格: " + totalPrice + "円");
if (totalPrice > 100) {
console.log("100円以上です");
}
*/
console.log("価格表示完了");
</script>
実行結果:
商品名: りんご
価格: 150円
価格表示完了
このように、/*
と*/
で囲むことで、複数行のコードを一度にコメントアウトできます。
開発中に機能を一時的に停止したい場合などに便利です。
コメントを書くタイミングと意識
わかりやすいコメントの書き方
コメントは単にコードの説明をするだけでなく、なぜそのコードを書いたのかを説明することが大切です。
以下の例を見てみましょう。
<script>
let temperature = 35;
// 気温が30度以上の場合は熱中症注意のメッセージを表示
if (temperature >= 30) {
console.log("熱中症に注意してください");
}
// ユーザーの入力をチェックする前に、空白文字を削除
let userInput = " こんにちは ";
let cleanInput = userInput.trim();
console.log("入力内容: " + cleanInput);
</script>
実行結果:
熱中症に注意してください
入力内容: こんにちは
このように、「何をしているか」だけでなく「なぜそうしているか」を書くと、後でコードを見返した時に理解しやすくなります。
まとめ
本章では、JavaScriptでのコメントの書き方について学びました。以下の内容を理解できたことと思います。
//
を使った一行コメントで、コードに説明を追加したり一時的に無効化したりできる/* */
を使った複数行コメントで、長い説明や複数行のコードをまとめて扱える- コメントは「何をしているか」だけでなく「なぜそうしているか」を書くと効果的
コメントを適切に使うことで、自分が後で見返した時や、他の人がコードを読む時の理解が格段に向上します。
コードを書く習慣と一緒に、適切なコメントを書く習慣も身につけていきましょう。