rails new でプロジェクトを作成してみよう
学習の目標
本章では、以下の内容を学習します。
- Railsをgemを使ってインストールする方法を理解する
rails new
コマンドを使って新しいRailsプロジェクトを作成する方法を習得する- Railsプロジェクトの基本的なフォルダ構成と役割を理解する
- ローカルサーバーを起動して初期画面を表示する方法を学ぶ
- 一般的なトラブルとその解決方法を知る
はじめに
プログラミングを学び始めたら、実際に何かを作ってみたいと思うのは自然なことです。この章では、Railsという仕組みを使ったWebアプリケーション開発の第一歩として、新しいプロジェクトを作成する流れを解説します。
Railsは、Rubyというプログラミング言語を使ったWebアプリケーションの開発を助けてくれる道具の1つです。アプリケーション開発に必要なファイルやフォルダの整理を自動でやってくれるため、初心者でも始めやすくなっています。
あらかじめRubyやRailsのインストールを行っていることを前提に、ターミナルやコマンドプロンプトを使った操作を見ていきましょう。今回は、VS Codeを使ってコードを開く想定で進めていきます。
もし「ターミナルを開く」という作業に慣れていない場合は、Windowsなら「コマンドプロンプト」や「PowerShell」、Macなら「ターミナル」というアプリを探してみてください。
それでは、実際にプロジェクトを作ってみましょう。
Railsをインストールしよう
gemの概念を理解する
Railsは、gemという仕組みを使ってインストールします。gemとは、Rubyの機能を追加するための「道具箱」のようなものです。
たとえば、スマホに新しいアプリをインストールすると、できることが増えますよね。それと同じように、gemを使うと、Rubyに新しい機能を追加できます。
Railsも、このgemのひとつとして提供されています。
Railsのインストール手順
ターミナルを開いて、以下のコマンドを入力しましょう。
gem install rails
このコマンドを実行すると、Railsとその関連ファイルがパソコンにインストールされます。
これにより、Railsの基本的なコマンドが使用できるようになります。
インストールの確認
Railsが正しくインストールされたかを確認するには、次のコマンドを実行します。
rails -v
バージョン情報が表示されれば、Railsのインストールは完了です。
このバージョン情報は日々、Railsのアップデートのたびに変わっていくものですので、数字が違っても大丈夫です。
なお、ここで見えているバージョン情報のうち、一番左の部分が「メジャーバージョン」を表すものです。
メジャーバージョンとは簡単にいうと「大きなアップデート」ごとに付けられる数字でして、たとえばPCのOSであるWindowsだと10や11、ゲーム機のPlayStationだと4とか5など、そういった大きな変化があったことを表すものと覚えておくといいでしょう。
Railsも同じく、メジャーバージョンが違うと機能が大きく変わっているのですが、今回の講座ではそれらの機能は使いませんので、お手元のパソコンで表示されたバージョン情報が動画と違っても、あまり気にしなくて大丈夫です。
Railsプロジェクトの作成
VS Codeでデスクトップを開く
まず、VS Codeでデスクトップを開きましょう。
- VS Codeを起動して、「エクスプローラー」から「フォルダを開く」を選択し、デスクトップを開きます
- 左側からデスクトップ(Desktop)を右クリックし、「統合ターミナルで開く」を選択します
これで、デスクトップにてターミナルを開く準備が整います。
rails newコマンドの実行
以下のコマンドを実行し、新しいRailsアプリケーションを作成してみましょう。
rails new myapp --skip-test
ここで「myapp」の部分はRailsアプリケーションの名前ですので、好きなアプリ名に変えてもかまいません。
また、--skip-test
はテスト関連のファイルを省略するための指定です。今回の学習ではテストファイルを使わないため、このオプションをつけています。
コマンドを実行すると、たくさんのファイルやフォルダが自動で生成されます。
このとき、bundle install
というコマンドも自動的に走り、必要なソフト(Gem)がインストールされます。
プロジェクトの中身を見てみよう
生成されたフォルダとファイル
先ほどのコマンドが終わったら、デスクトップの中に「myapp」というフォルダができているはずです。
VS Codeで「myapp」フォルダを開いてみると、いろいろなファイルが並んでいます。
いくつか主要なファイルやフォルダを見ていきましょう。
- Gemfile - Railsの動作に必要なソフト(gem)の一覧が記載されています
- config/routes.rb - ブラウザでアクセスしたときにどのページを呼び出すかを設定する内容を指定できます
- app フォルダ - アプリケーションの実際の機能はこのフォルダの中にまとめられています
MVCフォルダの理解
appフォルダの中には、models
、views
、controllers
という名前のフォルダが並んでいます。
これらは、Railsの基本的な仕組みであるMVCと呼ばれる考え方を実装するために使われます。
MVCの話は少し難しいですが、簡単に言うと次のようになります。
- Model(モデル): アプリケーションのデータを管理する部分
- View(ビュー): 画面の見た目を作る部分
- Controller(コントローラ): モデルとビューを調整する部分
このように、Railsではあらかじめフォルダが分かれているため、初心者の方でもファイルの置き場所に迷いにくくなっています。
ローカルサーバーを起動してみよう
サーバーの起動方法
ファイルやフォルダを確認できたら、実際に動作を試してみましょう。
以下のコマンドを使ってサーバーを起動します。まずは、デスクトップからRailsアプリケーションのフォルダに移動します。
cd myapp
次に、Railsサーバーを起動します。
rails s
rails s
と入力すると、Railsが専用のサーバーを立ち上げてくれます。
もしパソコンから「このアプリケーションの通信を許可しますか?」と聞かれたら、許可してください。
初期画面の確認
起動に成功すると、ターミナルに「Listening on http://127.0.0.1:3000」といった表示が出ます。
=> Listening on http://127.0.0.1:3000
これは、Railsがローカルサーバーを立ち上げて、ポート3000で待機していることを示しています。
「http://127.0.0.1:3000」というページにアクセスすれば、Railsアプリケーションの初期画面が見られる」という意味です。
では、実際にブラウザで http://127.0.0.1:3000 を開いてみてください。
Railsバージョンなどが表示された画面が見えていれば成功です。こちらは、Railsが用意してくれている、デフォルトのトップページです。
これでRailsの基本フォルダと最低限の設定が整った状態になりました。
トラブルシューティング
よくあるエラーと対処法
プログラミングの学習では、様々なエラーに遭遇することがあります。
ここでは、よくあるエラーとその対処法を紹介します。
Rails コマンドが見つからない
もしrails new
を実行したときに「command not found」というエラーが出る場合は、RubyやRailsのインストールが完了していない可能性があります。
Rubyがインストールされているかをruby -v
で確認してみてください。
インストールされていない場合は、インストール手順に戻って環境を整えましょう。
ネットワーク関連のエラー
「Gem::RemoteFetcher error」などのエラーが表示された場合は、ネットワーク環境やプロキシ設定が影響しているケースもあります。
会社や学校のネットワークから実行している場合は、セキュリティ設定によってはアクセスがブロックされることがあります。
家庭のWi-Fi環境などから試してみると改善することがあります。
まとめ
本章では、Railsを使ったWebアプリケーション開発の第一歩として、以下の内容を学びました。
- gemを使ってRailsをインストールする方法
rails new
コマンドでプロジェクトを作成する方法- Railsプロジェクトの基本的なフォルダ構成とその役割
rails s
コマンドでローカルサーバーを起動する方法- 初期画面を確認してプロジェクト作成の完了を確認する方法
ここまでで、Railsを使ったWebアプリケーションの開発準備が整いました。
今後はこのプロジェクトの中に自作のページや機能を追加し、オリジナルアプリケーションを作っていくことができます。
次の章では、実際にページを作成して表示する方法を学んでいきましょう。