最初のPythonプログラムを実行してみよう
学習の目標
本章では、以下の内容を学習します。
- Hello Worldプログラムを作成・実行する
- print関数の基本的な使い方を理解する
- Pythonファイルの保存と実行方法を習得する
- エラーメッセージの見方と対処法を学ぶ
はじめに
前章では、VS CodeでPython開発環境を整えました。 今回は、いよいよ最初のPythonプログラムを作成して実行してみましょう。
プログラミングの世界では、新しい言語を学ぶ際に「Hello World」というメッセージを表示するプログラムを最初に作成するのが伝統です。 これは、プログラミング環境が正しく動作していることを確認する意味もあります。
シンプルなプログラムから始めることで、Pythonの基本的な書き方や実行の流れを理解していきましょう。 また、プログラムを実行する際に遭遇する可能性があるエラーについても学習します。
Hello Worldを表示してみよう
最初のプログラムの意味
「Hello World」プログラムは、コンピュータの画面に「Hello World」というメッセージを表示するだけのシンプルなプログラムです。
このプログラムを作成することで、以下のことを確認できます。
- Pythonが正しくインストールされている
- VS Codeでの開発環境が適切に設定されている
- ファイルの作成、保存、実行の流れを理解できる
- プログラムの基本的な構造を学べる
では、実際にHello Worldプログラムを作成してみましょう。
ファイルの作成
まず、VS Codeで新しいPythonファイルを作成します。
- VS Codeを起動してください
- 「ファイル」メニューから「新しいファイル」を選択(または
Ctrl+N
/Cmd+N
) - 新しいタブが開いたら、すぐにファイルを保存しましょう
ファイルの保存はCtrl+S
(Windows)またはCmd+S
(Mac)で行います。 ファイル名はhello_world.py
として保存してください。
ファイル名にhello_world.py
と入力すると、VS Codeが自動的にこのファイルをPythonファイルとして認識します。 右下に「Python」と表示されることを確認してください。
Hello Worldプログラムの作成
保存したファイルに、以下のコードを入力してください。
print("Hello World")
たったこれだけです。非常にシンプルですが、これが立派なPythonプログラムです。
コードを入力すると、VS Codeが自動的に色分けして表示します。 print
という部分が青色で、"Hello World"
という文字列が赤系の色で表示されているはずです。
プログラムの実行
作成したプログラムを実行してみましょう。 VS Codeで実行する方法はいくつかあります。
方法1: 統合ターミナルを使用
Ctrl+
`(バッククォート)でターミナルを開く- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す
Windowsの場合:
python hello_world.py
Macの場合:
python3 hello_world.py
方法2: VS Codeの実行ボタン
- ファイルを開いた状態で、右上の「▷」(再生ボタン)をクリック
- または
Ctrl+F5
(MacではCmd+F5
)を押す
どちらの方法でも、以下のような出力が表示されます。
Hello World
この表示が出れば、あなたの最初のPythonプログラムは正常に実行されました。おめでとうございます!
print関数の使い方
print関数とは
先ほど使用したprint
は、Pythonの関数の一つです。 関数とは、特定の処理を実行するための命令のまとまりです。
print
関数は、画面(正確にはターミナル)に文字や数値を表示するために使用します。 これは、プログラムの結果をユーザーに見せるための基本的な方法です。
基本的な使い方
print
関数の基本的な書き方は以下の通りです。
print("表示したい内容")
括弧の中に、表示したい内容を書きます。 文字列(文字の集まり)を表示する場合は、ダブルクォーテーション("
)で囲む必要があります。
様々な文字列を表示してみる
新しいファイルprint_practice.py
を作成して、いろいろな文字列を表示してみましょう。
# 様々な文字列を表示
print("Hello World")
print("こんにちは、世界!")
print("Python programming is fun!")
print("プログラミングを学習中です")
このコードを実行すると、以下のような出力が表示されます。
Hello World
こんにちは、世界!
Python programming is fun!
プログラミングを学習中です
print
関数を複数回使用すると、それぞれが別々の行に表示されることがわかります。
シングルクォーテーションとダブルクォーテーション
Pythonでは、文字列をシングルクォーテーション('
)で囲むこともできます。
# シングルクォーテーションを使用
print('Hello World')
print('こんにちは、Python!')
# ダブルクォーテーションを使用
print("Hello World")
print("こんにちは、Python!")
どちらを使っても同じ結果が得られます。 ただし、開始と終了で同じ種類のクォーテーションを使用する必要があります。
数値を表示する
print
関数は、文字列だけでなく数値も表示できます。
# 数値を表示
print(42)
print(3.14)
print(100)
数値の場合は、クォーテーションで囲む必要がありません。
実行すると、以下のような出力が表示されます。
42
3.14
100
空行を表示する
何も表示しない空の行を作りたい場合は、括弧の中に何も書かずにprint()
とします。
print("最初の行")
print()
print("空行の後の行")
実行すると、以下のような出力が表示されます。
最初の行
空行の後の行
2行目が空行になっていることがわかります。
Pythonファイルの保存と実行
ファイル保存の重要性
プログラムを実行する前に、必ずファイルを保存することが重要です。 保存していない変更は実行されないため、期待した結果が得られません。
VS Codeでファイルが保存されていない場合、ファイル名の横に白い丸(●)が表示されます。 この丸が表示されている間は、まだ保存されていない状態です。
自動保存の設定
毎回手動で保存するのが面倒な場合は、自動保存機能を有効にできます。
- 「ファイル」メニューをクリック
- 「自動保存」をクリックして有効にする
自動保存が有効になると、コードを変更するたびに自動的に保存されるようになります。
ファイル名の注意点
Pythonファイルを作成する際は、以下の点に注意してください。
拡張子は必ず.py
にする これにより、VS CodeがPythonファイルとして認識します。
ファイル名にスペースを使わない スペースの代わりに、アンダースコア(_
)やハイフン(-
)を使用しましょう。
良い例として、my_program.py
、calculator.py
、hello-world.py
などがあります。 避けるべき例として、my program.py
、計算機.py
などがあります。
実行時の注意点
プログラムを実行する際は、以下の点を確認してください。
現在の場所を確認 ターミナルで、Pythonファイルがある場所にいることを確認してください。
ファイル名を正確に入力 実行コマンドでファイル名を間違えると、「ファイルが見つかりません」というエラーが表示されます。
Pythonのコマンドを確認 WindowsでもMacでもpython
コマンドが使えない場合は、python3
を試してみてください。
エラーメッセージの見方
プログラミングを学習していると、必ずエラーに遭遇します。 エラーは問題ではなく、プログラムを改善するための情報です。
よくあるエラーの例
実際にエラーを体験してみましょう。 新しいファイルerror_practice.py
を作成して、以下のコードを入力してください。
# わざとエラーを作る
print("Hello World"
このコードには、閉じ括弧が不足しています。 実行してみると、以下のようなエラーメッセージが表示されます。
File "error_practice.py", line 2
print("Hello World"
^
SyntaxError: unexpected EOF while parsing
エラーメッセージの読み方
エラーメッセージには、問題を解決するための重要な情報が含まれています。
ファイル名と行番号 File "error_practice.py", line 2
は、error_practice.py
ファイルの2行目にエラーがあることを示しています。
エラーの場所 ^
記号が、エラーが発生した場所を指しています。
エラーの種類 SyntaxError
は、文法エラー(書き方の間違い)を意味します。
エラーの詳細 unexpected EOF while parsing
は、「構文解析中に予期しないファイル終端に到達しました」という意味で、括弧が閉じられていないことを示しています。
エラーの修正
エラーメッセージを参考に、コードを修正してみましょう。
# エラーを修正
print("Hello World")
閉じ括弧を追加することで、エラーが解消されます。 修正後に実行すると、正常に「Hello World」が表示されます。
別のエラー例:文字列の閉じ忘れ
もう一つのよくあるエラーを見てみましょう。
# 文字列の閉じ忘れ
print("Hello World)
このコードは、開始のダブルクォーテーションに対して、終了がシングルクォーテーションになっています。
実行すると、以下のようなエラーが表示されます。
File "error_practice.py", line 2
print("Hello World)
^
SyntaxError: EOL while scanning string literal
EOL while scanning string literal
は、「文字列リテラルをスキャン中に行末に到達しました」という意味で、文字列が正しく閉じられていないことを示しています。
修正するには、クォーテーションを統一します。
# 修正版
print("Hello World")
エラーを恐れない
エラーメッセージが表示されても慌てる必要はありません。 エラーは、プログラムをより良くするための情報です。
エラーが発生したときは、以下の手順で対処しましょう。
- エラーメッセージをよく読む
- ファイル名と行番号を確認する
- 指摘された行を注意深く見る
- 似たような正しいコードと比較する
- 修正して再実行する
この流れを繰り返すことで、エラーを読み解く力が身につき、プログラミングスキルが向上します。
実践的なプログラムを作ってみる
基本的なprint
関数の使い方を理解したところで、もう少し実践的なプログラムを作成してみましょう。
自己紹介プログラム
新しいファイルintroduction.py
を作成して、自己紹介プログラムを作ってみましょう。
# 自己紹介プログラム
print("====================")
print(" 自己紹介")
print("====================")
print()
print("名前: 田中太郎")
print("年齢: 25歳")
print("趣味: プログラミング")
print("好きな言語: Python")
print()
print("よろしくお願いします!")
このプログラムを実行すると、以下のような出力が表示されます。
====================
自己紹介
====================
名前: 田中太郎
年齢: 25歳
趣味: プログラミング
好きな言語: Python
よろしくお願いします!
メッセージ表示プログラム
今度は、複数のメッセージを表示するプログラムを作成してみましょう。 messages.py
ファイルを作成してください。
# 様々なメッセージを表示
print("Pythonプログラミングの学習を開始します")
print()
print("今日学習する内容:")
print("1. print関数の使い方")
print("2. ファイルの保存と実行")
print("3. エラーメッセージの見方")
print()
print("頑張って学習しましょう!")
print("プログラミングは楽しいです")
実行すると、以下のような出力が表示されます。
Pythonプログラミングの学習を開始します
今日学習する内容:
1. print関数の使い方
2. ファイルの保存と実行
3. エラーメッセージの見方
頑張って学習しましょう!
プログラミングは楽しいです
このように、print
関数を組み合わせることで、見やすく整理された出力を作ることができます。
まとめ
本章では、最初のPythonプログラムの作成と実行について学習しました。
Hello Worldプログラムの作成を通じて、Pythonプログラムの基本的な流れを理解しました。 ファイルの作成、コードの記述、保存、実行という一連の流れを体験できました。
print関数の基本的な使い方を習得し、文字列や数値の表示方法を学びました。 シングルクォーテーションとダブルクォーテーションの使い分けや、空行の表示方法も理解しました。
また、エラーメッセージの見方と対処法について学習しました。 エラーは問題ではなく改善のための情報であり、メッセージを読み解くことで問題を解決できることを理解しました。
実践的なプログラム例として、自己紹介プログラムやメッセージ表示プログラムも作成しました。 これらの例を通じて、print関数を組み合わせて見やすい出力を作る方法を学びました。
これで、Pythonプログラミングの第一歩を踏み出すことができました。 次回は、プログラムを読みやすくするためのコメントの書き方について学習していきましょう。