【Git】git pull を使うなと言われるのはなぜ?リスクや代替手法を初心者向けにわかりやすく解説
こんにちは、とまだです。
Gitを使っていると「git pull 使うな」という話を聞いたことはありませんか?
便利そうに見えるコマンドなのに、なぜ使うなと言われるのでしょうか。
今回は、git pullのリスクと代替手法について、初心者でも理解できるように解説していきます。
git pullの仕組みを理解しよう
git pullって、実は2つのコマンドを組み合わせたものなんです。
日常生活で例えると、コンビニで「お弁当を買って温める」という作業に似ています。
git pull = git fetch + git merge
この2つの処理を一度に行うため、便利な反面、意図しない結果を生むことがあります。
git fetchとは?
git fetchは「リモートの変更内容を確認する」作業です。
コンビニの例でいうと、「どんなお弁当があるか見る」段階ですね。
まだ購入(マージ)はしていません。
git mergeとは?
git mergeは「取得した変更を自分の作業に反映する」作業です。
お弁当を実際に購入して、自分のものにする段階です。
「git pull 使うな」と言われる3つの理由
1. 意図しないマージコミットが増える
git pullを使うと、自動的にマージが行われます。
これにより、履歴が次のようになってしまうことがあります。
* Merge branch 'main' of github.com:example/repo
|\
| * チームメンバーのコミット
* | 自分のコミット
|/
* 前回の共通コミット
マージコミットが頻繁に発生すると、履歴が複雑になり、過去の変更を追いにくくなります。
2. コンフリクトのタイミングが予測できない
作業中に突然コンフリクトが発生すると、作業の流れが中断されます。
例えば、重要な機能を実装している最中に、予期せぬコンフリクト対応を迫られると困りますよね。
3. リモートの変更内容を事前に確認できない
git pullは一気に処理を進めるため、「どんな変更が含まれているか」を確認する間もありません。
チーム開発では、他の人の変更内容を把握してから取り込むことが重要です。
代替手法1:fetch + merge
より安全な方法として、fetchとmergeを分けて実行する方法があります。
基本的な手順
# 1. リモートの変更を取得(まだマージしない)
git fetch origin main
# 2. 変更内容を確認
git log origin/main
# 3. 準備ができたらマージ
git merge origin/main
この方法なら、マージ前に変更内容を確認できます。
メリット
- リモートの変更内容を事前に確認できる
- マージのタイミングを自分で選べる
- コンフリクトに対する心の準備ができる
代替手法2:fetch + rebase
履歴をよりきれいに保ちたい場合は、rebaseを使う方法があります。
rebaseの特徴
rebaseは、自分のコミットを最新のmainブランチの上に「付け直す」作業です。
マージコミットを作らずに、直線的な履歴を保てます。
基本的な手順
# 1. リモートの変更を取得
git fetch origin main
# 2. rebaseで変更を取り込む
git rebase origin/main
注意点
rebaseは履歴を書き換えるため、すでに共有されているブランチでは慎重に使う必要があります。
基本的に、自分だけが使っている作業ブランチで使用しましょう。
実務での使い分け方
こんなときはfetch + merge
- チーム共有のブランチを更新するとき
- 履歴の完全性を保ちたいとき
- コンフリクトが多そうなとき
こんなときはfetch + rebase
- 個人の作業ブランチを更新するとき
- 履歴をきれいに保ちたいとき
- mainブランチに取り込む前の準備
チーム開発での運用ルール例
実際のチーム開発では、以下のようなルールを設けることが多いです。
基本ルール
- mainブランチへの直接コミットは禁止
- 作業は必ず専用ブランチで行う
- 定期的にfetchして最新状態を確認
- マージ前に必ずレビューを受ける
ブランチ更新の手順
# 1. 最新の状態を確認
git fetch origin
# 2. 自分の作業ブランチに移動
git checkout feature/my-feature
# 3. mainブランチの変更を取り込む
git rebase origin/main
# 4. コンフリクトがあれば解決
# 5. プッシュ(force pushが必要な場合もある)
git push origin feature/my-feature --force-with-lease
よくある質問
Q: git pull --rebase というオプションはどうですか?
A: これはfetch + rebase
を一度に行うコマンドです。
履歴はきれいになりますが、やはり事前確認ができないという問題は残ります。
Q: 個人開発でも git pull は避けるべき?
A: 個人開発では自由度が高いため、git pullを使っても問題ありません。
ただし、fetch + merge/rebaseの習慣をつけておくと、チーム開発でも困りません。
Q: すでにgit pullを使ってしまっていますが...
A: 問題ありません!
今からでも、fetch + merge/rebaseの方法に切り替えていけば大丈夫です。
まとめ
「git pull 使うな」と言われる理由は、主に以下の3つでした。
- 意図しないマージコミットの増加
- 予測できないコンフリクトのタイミング
- 事前確認ができない
代替手法として、以下の2つを紹介しました。
- fetch + merge: 安全で確実な方法
- fetch + rebase: 履歴をきれいに保つ方法
最初は手間に感じるかもしれませんが、慣れれば自然にできるようになります。
チーム開発をスムーズに進めるためにも、ぜひfetch + merge/rebaseの習慣を身につけてみてください。
著者について

とまだ
フルスタックエンジニア
Learning Next の創設者。Ruby on Rails と React を中心に、プログラミング教育に情熱を注いでいます。初心者が楽しく学べる環境作りを目指しています。
著者の詳細を見る →