Python global宣言入門｜関数内でグローバル変数を使う

みなさん、Pythonで関数を作っていて変数のことで困ったことはありませんか？

「関数の中で変数を変更したいのに、エラーが出る」 「UnboundLocalErrorって何？」 「関数の外で作った変数を使いたいけど、どうすればいいの？」

こんな疑問、よくありますよね。

実は、Pythonにはglobal宣言という便利な機能があるんです。 これを使えば、関数の中から外の変数を自由に変更できるようになります。

この記事では、global宣言の使い方を初心者向けにわかりやすく解説します。 変数のスコープから実践的な活用方法まで、一緒に学んでいきましょう！

global宣言って何？

global宣言は、関数の中でグローバル変数を変更するためのPythonのキーワードです。

簡単に言うと、「この変数は外で作ったものを使いますよ」という宣言なんです。

ローカル変数とグローバル変数の違い

まず、変数のスコープ（有効範囲）を理解しましょう。

# グローバル変数（どこからでも見える）
counter = 0

def increment():
    # これだとエラーになる
    # counter = counter + 1  # UnboundLocalError

def increment_correct():
    global counter  # これがglobal宣言
    counter = counter + 1

print(f"初期値: {counter}")
increment_correct()
print(f"変更後: {counter}")

このコードを実行すると、こうなります。

初期値: 0 変更後: 1

global counter と宣言することで、関数内からグローバル変数を変更できます。 宣言がないと、Pythonは新しいローカル変数を作ろうとしてエラーになっちゃいます。

基本的な使い方

global宣言の書き方

global宣言の基本的な書き方はとてもシンプルです。

def function_name():
    global 変数名
    # 変数を使用・変更

実際の例を見てみましょう。

# ゲームのスコア管理
total_score = 0
game_count = 0

def add_score(score):
    global total_score, game_count
    total_score += score
    game_count += 1

# スコアを追加してみよう
add_score(100)
add_score(150)
add_score(120)

print(f"合計スコア: {total_score}")
print(f"ゲーム回数: {game_count}")
print(f"平均スコア: {total_score / game_count}")

実行結果はこちらです。

合計スコア: 370 ゲーム回数: 3 平均スコア: 123.33333333333333

global total_score, game_count のように、複数の変数を同時に宣言できます。 カンマで区切って並べるだけです。

読み取り専用なら宣言不要

グローバル変数を読み取るだけなら、global宣言は必要ありません。

app_name = "My Application"
version = "1.0.0"

def show_app_info():
    # 読み取り専用なら宣言不要
    print(f"アプリ名: {app_name}")
    print(f"バージョン: {version}")

def update_version(new_version):
    global version  # 変更するときは宣言が必要
    version = new_version

show_app_info()
update_version("1.1.0")
show_app_info()

実行すると、こんな感じになります。

アプリ名: My Application バージョン: 1.0.0 アプリ名: My Application バージョン: 1.1.0

読み取り専用なら、そのまま使えちゃいます。 変更するときだけglobal宣言が必要なんですね。

実践的な活用例

カウンター機能

関数が呼ばれた回数をカウントする機能を作ってみましょう。

# カウンター変数
call_count = 0

def reset_counter():
    global call_count
    call_count = 0
    print("カウンターをリセットしました")

def increment_counter():
    global call_count
    call_count += 1
    print(f"関数が {call_count} 回呼び出されました")

def get_count():
    return call_count

# 使ってみよう
increment_counter()  # 1回目
increment_counter()  # 2回目
increment_counter()  # 3回目
print(f"現在のカウント: {get_count()}")
reset_counter()
print(f"リセット後のカウント: {get_count()}")

実行結果はこちらです。

関数が 1 回呼び出されました 関数が 2 回呼び出されました 関数が 3 回呼び出されました 現在のカウント: 3 カウンターをリセットしました リセット後のカウント: 0

複数の関数が同じグローバル変数を共有して使っています。

設定管理システム

アプリケーションの設定を管理するシステムを作ってみましょう。

# グローバル設定変数
debug_mode = False
log_level = "INFO"
max_connections = 100

def enable_debug():
    global debug_mode, log_level
    debug_mode = True
    log_level = "DEBUG"
    print("デバッグモードを有効にしました")

def disable_debug():
    global debug_mode, log_level
    debug_mode = False
    log_level = "INFO"
    print("デバッグモードを無効にしました")

def set_max_connections(count):
    global max_connections
    if count > 0:
        max_connections = count
        print(f"最大接続数を {count} に設定しました")
    else:
        print("最大接続数は正の数である必要があります")

def show_settings():
    print("=== 現在の設定 ===")
    print(f"デバッグモード: {debug_mode}")
    print(f"ログレベル: {log_level}")
    print(f"最大接続数: {max_connections}")

# 設定を変更してみよう
show_settings()
enable_debug()
set_max_connections(200)
show_settings()

実行すると、こんな結果になります。

=== 現在の設定 === デバッグモード: False ログレベル: INFO 最大接続数: 100 デバッグモードを有効にしました 最大接続数を 200 に設定しました === 現在の設定 === デバッグモード: True ログレベル: DEBUG 最大接続数: 200

関数を通じて設定を管理できて便利ですね。

よくある間違いと対策

global宣言を忘れた場合

global宣言を忘れると、UnboundLocalErrorが発生します。

score = 0

def bad_function():
    # これはエラーになる
    try:
        score = score + 10  # UnboundLocalError
    except UnboundLocalError as e:
        print(f"エラー: {e}")
        print("global宣言が必要です")

def good_function():
    global score
    score = score + 10  # これは正常に動作

print(f"初期スコア: {score}")
bad_function()
print(f"エラー後のスコア: {score}")
good_function()
print(f"正常処理後のスコア: {score}")

実行結果を見てみましょう。

初期スコア: 0 エラー: local variable 'score' referenced before assignment global宣言が必要です エラー後のスコア: 0 正常処理後のスコア: 10

変数を変更する前に、必ずglobal宣言を行いましょう。

同じ名前の変数で混乱

同じ名前のローカル変数とグローバル変数があると混乱が起こります。

message = "グローバルメッセージ"

def confusing_function():
    print(f"関数開始時: {message}")  # グローバル変数を参照
    
    message = "ローカルメッセージ"  # ローカル変数を作成
    print(f"ローカル変数設定後: {message}")

def clear_function():
    global message
    print(f"関数開始時: {message}")  # グローバル変数を参照
    
    message = "変更されたグローバルメッセージ"  # グローバル変数を変更
    print(f"グローバル変数変更後: {message}")

print(f"初期状態: {message}")
confusing_function()
print(f"confusing_function後: {message}")  # 変更されていない
clear_function()
print(f"clear_function後: {message}")  # 変更されている

実行結果はこちらです。

初期状態: グローバルメッセージ 関数開始時: グローバルメッセージ ローカル変数設定後: ローカルメッセージ confusing_function後: グローバルメッセージ 関数開始時: グローバルメッセージ グローバル変数変更後: 変更されたグローバルメッセージ clear_function後: 変更されたグローバルメッセージ

変数名の衝突を避けるために、明確な命名を心がけましょう。

もっと良い方法もある

global宣言は便利ですが、他にももっと良い方法があります。

クラスを使った状態管理

class GameState:
    def __init__(self):
        self.score = 0
        self.level = 1
        self.lives = 3
    
    def add_score(self, points):
        self.score += points
        if self.score >= self.level * 1000:
            self.level_up()
    
    def level_up(self):
        self.level += 1
        print(f"レベルアップ！現在レベル: {self.level}")
    
    def lose_life(self):
        self.lives -= 1
        if self.lives <= 0:
            print("ゲームオーバー")
    
    def show_status(self):
        print(f"スコア: {self.score}, レベル: {self.level}, ライフ: {self.lives}")

# 使ってみよう
game = GameState()
game.show_status()
game.add_score(500)
game.add_score(600)
game.show_status()

実行結果はこちらです。

スコア: 0, レベル: 1, ライフ: 3 レベルアップ！現在レベル: 2 スコア: 1100, レベル: 2, ライフ: 3

クラスを使うと、より構造化された状態管理ができます。

辞書でまとめて管理

# 設定を辞書でまとめる
config = {
    "debug": False,
    "log_level": "INFO",
    "max_users": 100,
    "timeout": 30
}

def update_config(key, value):
    global config
    if key in config:
        old_value = config[key]
        config[key] = value
        print(f"{key}を {old_value} から {value} に変更しました")
    else:
        print(f"未知の設定項目: {key}")

def get_config(key):
    return config.get(key, None)

def show_all_config():
    print("=== 全設定 ===")
    for key, value in config.items():
        print(f"{key}: {value}")

# 使ってみよう
show_all_config()
update_config("debug", True)
update_config("max_users", 200)
show_all_config()

実行結果はこちらです。

=== 全設定 === debug: False log_level: INFO max_users: 100 timeout: 30 debugを False から True に変更しました max_usersを 100 から 200 に変更しました === 全設定 === debug: True log_level: INFO max_users: 200 timeout: 30

辞書を使うと、設定項目をまとめて管理できて便利です。

まとめ

Python global宣言は、関数内でグローバル変数を変更するための重要な機能です。

今回学んだポイント

• global宣言で関数内からグローバル変数を変更できる
• 読み取り専用の場合はglobal宣言は不要
• 複数の変数を同時にglobal宣言可能
• UnboundLocalErrorを避けるために適切な宣言が必要
• クラスや辞書を使った代替手段もある

global宣言を理解すると、変数のスコープを適切に管理できるようになります。 ただし、使いすぎると複雑になるので、状況に応じて他の方法も検討してみてください。

まずは基本的な使い方から始めて、徐々に応用的な技術も身につけていきましょう！