Pythonのdef文とは？関数の作り方を基礎から学ぼう

みなさん、Pythonで「関数」という言葉を聞いたことありますか？

「def文って何？」「関数の作り方がわからない」 「いつ関数を使えばいいの？」

こんな疑問を持っている人も多いですよね。

関数は、Pythonプログラミングの基礎中の基礎です。 この記事では、def文を使った関数の作り方を初心者向けにやさしく解説します。

基本的な書き方から実践的な活用法まで、コード例とともに一緒に学んでいきましょう！

関数って何だろう？

関数の基本的な考え方

関数とは、特定の処理をまとめて名前を付けたものです。

数学の関数と似ていて、「入力」を受け取って「出力」を返します。 イメージとしては、材料を入れて料理を作る機械のようなものですね。

# 数学の関数のイメージ
# f(x) = x + 1
# x=5を入力すると、6が出力される

# Pythonの関数
def add_one(x):
    return x + 1

result = add_one(5)  # 6が返される
print(result)  # 6

この例では、add_oneという関数に数値5を渡すと、1を足した6が返ってきます。

とてもシンプルですよね！

なぜ関数を使うの？

関数を使う理由は主に3つあります。

1. コードの再利用ができる

同じ処理を何度も書く必要がありません。

# 関数を使わない場合（同じ処理を何度も書く）
name1 = "田中"
print(f"こんにちは、{name1}さん！")

name2 = "佐藤"
print(f"こんにちは、{name2}さん！")

name3 = "鈴木"
print(f"こんにちは、{name3}さん！")

# 関数を使う場合（処理を一度定義して再利用）
def greet(name):
    print(f"こんにちは、{name}さん！")

greet("田中")
greet("佐藤")
greet("鈴木")

関数を使うと、コードがスッキリして読みやすくなります。

2. コードの整理ができる

複雑な処理を関数で分けることで、プログラムが理解しやすくなります。

# 複雑な処理を関数で整理
def calculate_total_price(price, quantity, tax_rate):
    """合計金額を計算する関数"""
    subtotal = price * quantity
    tax = subtotal * tax_rate
    total = subtotal + tax
    return total

# 使用例
apple_total = calculate_total_price(100, 3, 0.1)  # りんご3個
banana_total = calculate_total_price(150, 2, 0.1)  # バナナ2個

print(f"りんごの合計: {apple_total}円")
print(f"バナナの合計: {banana_total}円")

何をしているかが一目でわかりますね。

3. エラーの発見がしやすい

問題が起きた時に、どの部分に原因があるかを特定しやすくなります。

# 関数に分けることで、問題の箇所を特定しやすくなる
def validate_email(email):
    """メールアドレスの形式をチェック"""
    if "@" not in email:
        return False
    if "." not in email:
        return False
    return True

def send_email(email, message):
    """メール送信処理"""
    if not validate_email(email):
        print("無効なメールアドレスです")
        return False
    
    print(f"{email}にメッセージを送信: {message}")
    return True

# エラーがあっても、どの関数に問題があるかすぐわかる

機能ごとに分けることで、デバッグが楽になります。

def文の基本的な書き方

基本の構文

Pythonで関数を作るにはdef文を使います。

基本的な構文はこのようになります。

# 基本的なdef文の構文
def 関数名():
    """関数の説明（オプション）"""
    処理の内容
    return 戻り値  # 必要に応じて

実際の例を見てみましょう。

最もシンプルな関数

# 引数なし、戻り値なしの関数
def say_hello():
    print("こんにちは！")

# 関数の呼び出し
say_hello()  # 「こんにちは！」が表示される

この関数はsay_helloという名前で、呼び出すと「こんにちは！」と表示されます。

とてもシンプルですが、これも立派な関数です。

わかりやすい関数名を付けよう

関数名は、何をする関数なのかがすぐにわかるようにしましょう。

# 良い関数名の例
def calculate_area():  # 面積を計算する
    pass

def get_user_name():  # ユーザー名を取得する
    pass

def send_notification():  # 通知を送信する
    pass

# 避けるべき関数名
def func():  # 何をする関数かわからない
    pass

def a():  # 短すぎて意味不明
    pass

関数名を見ただけで、どんな処理をするかがわかるのが理想です。

関数の説明を書こう

関数にコメントを書くことで、使い方がより明確になります。

def calculate_circle_area(radius):
    """
    円の面積を計算する関数
    
    Args:
        radius (float): 円の半径
    
    Returns:
        float: 円の面積
    """
    area = 3.14159 * radius * radius
    return area

# 簡単なコメントの場合
def greet_user(name):
    """ユーザーに挨拶するメッセージを表示"""
    print(f"ようこそ、{name}さん！")

コメントがあると、後から見た時に理解しやすくなります。

引数を使って値を渡そう

基本的な引数の使い方

関数に値を渡すための仕組みが引数です。

関数を呼び出す時に、必要な情報を渡すことができます。

# 1つの引数を受け取る関数
def double(number):
    """数値を2倍にする関数"""
    result = number * 2
    return result

print(double(5))   # 10
print(double(3.5)) # 7.0

# 複数の引数を受け取る関数
def add_numbers(a, b):
    """2つの数値を足し算する関数"""
    return a + b

print(add_numbers(3, 7))    # 10
print(add_numbers(1.5, 2.5)) # 4.0

引数を使うことで、関数をより柔軟に活用できます。

もっと実用的な例

実際のプログラムでよく使われるような関数を作ってみましょう。

# BMI計算の関数
def calculate_bmi(weight, height):
    """BMIを計算する関数
    
    Args:
        weight (float): 体重（kg）
        height (float): 身長（m）
    
    Returns:
        float: BMI値
    """
    bmi = weight / (height ** 2)
    return round(bmi, 2)

# 使用例
my_bmi = calculate_bmi(65, 1.70)
print(f"BMI: {my_bmi}")  # BMI: 22.49

# 挨拶メッセージの関数
def create_greeting(name, time_of_day):
    """時間帯に応じた挨拶メッセージを作成"""
    if time_of_day == "morning":
        return f"おはようございます、{name}さん！"
    elif time_of_day == "afternoon":
        return f"こんにちは、{name}さん！"
    elif time_of_day == "evening":
        return f"こんばんは、{name}さん！"
    else:
        return f"こんにちは、{name}さん！"

print(create_greeting("田中", "morning"))    # おはようございます、田中さん！
print(create_greeting("佐藤", "afternoon"))  # こんにちは、佐藤さん！

このように、引数を使うことで汎用性の高い関数が作れます。

デフォルト引数で便利に

引数にデフォルト値を設定することもできます。

# デフォルト引数の使用
def greet(name, greeting="こんにちは"):
    """挨拶する関数（デフォルトの挨拶は「こんにちは」）"""
    return f"{greeting}、{name}さん！"

# デフォルト値を使う場合
print(greet("田中"))  # こんにちは、田中さん！

# デフォルト値を上書きする場合
print(greet("佐藤", "おはよう"))  # おはよう、佐藤さん！
print(greet("鈴木", "こんばんは"))  # こんばんは、鈴木さん！

# より実用的な例：税込み価格計算
def calculate_price_with_tax(price, tax_rate=0.1):
    """税込み価格を計算（デフォルトの税率は10%）"""
    return price * (1 + tax_rate)

print(calculate_price_with_tax(1000))      # 1100.0（10%税込み）
print(calculate_price_with_tax(1000, 0.08)) # 1080.0（8%税込み）

デフォルト引数を使うと、よく使う値を省略できて便利です。

キーワード引数でもっと自由に

引数の名前を指定して値を渡すこともできます。

def create_profile(name, age, city, job="未設定"):
    """プロフィール情報を作成"""
    return f"名前: {name}, 年齢: {age}, 住所: {city}, 職業: {job}"

# 位置引数で呼び出し
profile1 = create_profile("田中", 25, "東京")
print(profile1)

# キーワード引数で呼び出し（順番を変えても良い）
profile2 = create_profile(city="大阪", name="佐藤", age=30, job="エンジニア")
print(profile2)

# 混在も可能（位置引数が先）
profile3 = create_profile("鈴木", age=28, city="福岡")
print(profile3)

キーワード引数を使うと、どの値が何の引数かわかりやすくなります。

return文で値を返そう

returnの基本的な使い方

関数から値を返すためにreturn文を使います。

# 値を返す関数
def multiply(a, b):
    result = a * b
    return result  # 計算結果を返す

answer = multiply(6, 7)
print(answer)  # 42

# より簡潔に書くことも可能
def multiply_simple(a, b):
    return a * b  # 直接計算結果を返す

return文を使うことで、関数の結果を他の場所で使えるようになります。

複数の値を返すこともできる

Pythonでは、一度に複数の値を返すことができます。

# 複数の値をタプルで返す
def calculate_stats(numbers):
    """数値リストの統計情報を計算"""
    total = sum(numbers)
    count = len(numbers)
    average = total / count if count > 0 else 0
    
    return total, count, average  # 3つの値を返す

# 複数の値を受け取る
scores = [85, 92, 78, 96, 88]
total, count, avg = calculate_stats(scores)

print(f"合計: {total}")
print(f"件数: {count}")
print(f"平均: {avg:.2f}")

# 辞書で返すこともできる
def analyze_text(text):
    """テキストを分析して結果を辞書で返す"""
    return {
        "文字数": len(text),
        "単語数": len(text.split()),
        "大文字の数": sum(1 for c in text if c.isupper()),
        "小文字の数": sum(1 for c in text if c.islower())
    }

result = analyze_text("Hello World Python Programming")
print(result)

複数の値を返すと、関数の結果をより詳しく知ることができます。

return文がない場合

return文を書かない場合、関数は自動的にNoneを返します。

# return文がない関数は自動的にNoneを返す
def print_message(message):
    print(f"メッセージ: {message}")
    # return文なし

result = print_message("こんにちは")
print(result)  # None が表示される

# 条件によってreturnする場合
def check_password(password):
    """パスワードの強度をチェック"""
    if len(password) < 8:
        return "パスワードが短すぎます"
    
    if not any(c.isdigit() for c in password):
        return "数字を含めてください"
    
    if not any(c.isupper() for c in password):
        return "大文字を含めてください"
    
    return "パスワードは安全です"

print(check_password("abc"))        # パスワードが短すぎます
print(check_password("abcdefgh"))   # 数字を含めてください
print(check_password("abcdefg1"))   # 大文字を含めてください
print(check_password("Abcdefg1"))   # パスワードは安全です

条件に応じて異なる値を返すこともできます。

実用的な関数を作ってみよう

日常で使えるユーティリティ関数

実際のプログラムでよく使われる関数を作ってみましょう。

# 温度変換の関数
def celsius_to_fahrenheit(celsius):
    """摂氏温度を華氏温度に変換"""
    fahrenheit = (celsius * 9/5) + 32
    return round(fahrenheit, 1)

def fahrenheit_to_celsius(fahrenheit):
    """華氏温度を摂氏温度に変換"""
    celsius = (fahrenheit - 32) * 5/9
    return round(celsius, 1)

print(f"25°C = {celsius_to_fahrenheit(25)}°F")  # 25°C = 77.0°F
print(f"77°F = {fahrenheit_to_celsius(77)}°C")  # 77°F = 25.0°C

# ファイルサイズの単位変換
def format_file_size(bytes_size):
    """バイト数を読みやすい単位に変換"""
    if bytes_size < 1024:
        return f"{bytes_size} B"
    elif bytes_size < 1024 ** 2:
        return f"{bytes_size / 1024:.1f} KB"
    elif bytes_size < 1024 ** 3:
        return f"{bytes_size / (1024 ** 2):.1f} MB"
    else:
        return f"{bytes_size / (1024 ** 3):.1f} GB"

print(format_file_size(500))        # 500 B
print(format_file_size(1536))       # 1.5 KB
print(format_file_size(2097152))    # 2.0 MB
print(format_file_size(5368709120)) # 5.0 GB

このような関数は、いろいろなプロジェクトで再利用できます。

データ処理関数

リストや文字列を処理する関数も作ってみましょう。

# リストの統計情報を計算する関数
def calculate_statistics(numbers):
    """数値リストの統計情報を計算"""
    if not numbers:
        return None
    
    return {
        "最小値": min(numbers),
        "最大値": max(numbers),
        "平均値": sum(numbers) / len(numbers),
        "合計": sum(numbers),
        "件数": len(numbers)
    }

test_scores = [85, 92, 78, 96, 88, 91, 83]
stats = calculate_statistics(test_scores)
print("テストスコアの統計:")
for key, value in stats.items():
    if key == "平均値":
        print(f"{key}: {value:.2f}")
    else:
        print(f"{key}: {value}")

# 文字列処理の関数
def clean_phone_number(phone):
    """電話番号から不要な文字を除去して統一フォーマットに"""
    # ハイフン、スペース、括弧を除去
    cleaned = phone.replace("-", "").replace(" ", "").replace("(", "").replace(")", "")
    
    # 数字のみを抽出
    digits_only = ''.join(c for c in cleaned if c.isdigit())
    
    # 11桁の場合はハイフン付きフォーマットに
    if len(digits_only) == 11:
        return f"{digits_only[:3]}-{digits_only[3:7]}-{digits_only[7:]}"
    else:
        return digits_only

print(clean_phone_number("090-1234-5678"))    # 090-1234-5678
print(clean_phone_number("090 1234 5678"))    # 090-1234-5678
print(clean_phone_number("(090)1234-5678"))   # 090-1234-5678

データを処理する関数は、実際の業務でもよく使われます。

ビジネスロジックの関数

お店やサービスで使えそうな関数も作ってみましょう。

# 割引価格計算の関数
def calculate_discount_price(original_price, customer_type="一般"):
    """顧客タイプに応じた割引価格を計算"""
    discount_rates = {
        "一般": 0.0,
        "学生": 0.1,    # 10%割引
        "シニア": 0.15,  # 15%割引
        "VIP": 0.2      # 20%割引
    }
    
    discount_rate = discount_rates.get(customer_type, 0.0)
    discount_amount = original_price * discount_rate
    final_price = original_price - discount_amount
    
    return {
        "元の価格": original_price,
        "割引率": f"{discount_rate * 100:.0f}%",
        "割引額": discount_amount,
        "最終価格": final_price
    }

# 使用例
price_info = calculate_discount_price(10000, "学生")
print("価格情報:")
for key, value in price_info.items():
    print(f"{key}: {value}")

このように、ビジネスで使える計算も関数にまとめられます。

関数を使う時の注意点

変数のスコープ（有効範囲）

関数の中で作った変数は、関数の外では使えません。

# グローバル変数とローカル変数
global_var = "グローバル変数"

def demo_scope():
    local_var = "ローカル変数"
    print(f"関数内から: {global_var}")  # グローバル変数にアクセス可能
    print(f"関数内から: {local_var}")   # ローカル変数にアクセス可能

demo_scope()
print(f"関数外から: {global_var}")  # グローバル変数にアクセス可能
# print(f"関数外から: {local_var}")  # エラー！ローカル変数にはアクセス不可

変数の使える範囲を理解することは大切です。

引数は参照渡し

リストや辞書を引数に渡すと、元のデータが変更される可能性があります。

# リストや辞書は参照渡しされる
def modify_list(my_list):
    my_list.append("追加された要素")
    print(f"関数内: {my_list}")

original_list = ["要素1", "要素2"]
print(f"変更前: {original_list}")
modify_list(original_list)
print(f"変更後: {original_list}")  # 元のリストが変更されている！

# 元のリストを変更したくない場合
def safe_modify_list(my_list):
    new_list = my_list.copy()  # コピーを作成
    new_list.append("追加された要素")
    return new_list

original_list2 = ["要素1", "要素2"]
result_list = safe_modify_list(original_list2)
print(f"元のリスト: {original_list2}")  # 変更されていない
print(f"新しいリスト: {result_list}")   # 新しいリストに追加されている

元のデータを保護したい時は、コピーを作ることが大切です。

エラーハンドリング

エラーが起きても大丈夫なように、適切な処理を入れましょう。

# 適切なエラーハンドリングを含む関数
def safe_divide(a, b):
    """安全な割り算を行う関数"""
    try:
        if b == 0:
            return None, "ゼロで割ることはできません"
        
        result = a / b
        return result, "成功"
    
    except TypeError:
        return None, "数値以外が入力されました"
    except Exception as e:
        return None, f"予期しないエラー: {e}"

# 使用例
print(safe_divide(10, 2))    # (5.0, '成功')
print(safe_divide(10, 0))    # (None, 'ゼロで割ることはできません')
print(safe_divide(10, "a"))  # (None, '数値以外が入力されました')

エラーハンドリングがあると、プログラムが止まらずに済みます。

まとめ

Pythonのdef文を使った関数について、基礎から実践まで詳しく解説しました。

関数の基本

• def文で関数を定義する
• 引数で値を受け取る
• return文で値を返す
• わかりやすい名前とコメントを付ける

関数を使うメリット

• コードの再利用ができる
• プログラムが整理される
• エラーの発見がしやすくなる

実践的なポイント

• デフォルト引数で柔軟性を高める
• キーワード引数で可読性を向上
• 複数の値を返すこともできる
• エラーハンドリングを忘れずに

注意点

• 変数のスコープを理解する
• 参照渡しに注意する
• 適切なエラー処理を行う

関数はPythonプログラミングの基礎中の基礎です。

最初は簡単な関数から始めて、徐々に複雑な処理を関数として作れるようになりましょう。 関数を上手に使いこなせるようになると、プログラミングがもっと楽しく効率的になりますよ！

ぜひ今回学んだ内容を参考に、いろいろな関数を作ってみてくださいね。