JavaScriptのバージョンとは？初心者向けにES6以降の違いを解説

「ES6とかES2020って何のこと？」と疑問に思ったことはありませんか？

「JavaScriptにはバージョンがあるって聞いたけど、何が違うの？」「新しい書き方を覚えたほうがいいのかな？」

そんな疑問を抱いている方は多いと思います。でも大丈夫です！

この記事では、JavaScriptのバージョンについて初心者向けに詳しく解説します。 ES6以降の主要な新機能と、実際にどう使えばいいかをわかりやすく説明していきます。

きっと「新しいJavaScriptってこんなに便利だったんだ！」と感じられるはずですよ。

JavaScriptのバージョンって何？基本を理解しよう

JavaScriptの正式名称を知ろう

JavaScriptのバージョンは、**ECMAScript（イーマスクリプト）**という標準仕様に基づいています。

簡単に言うと、「JavaScriptに新しい機能を追加したり、使いやすくするためのアップデート」なんです。スマホアプリのアップデートと同じように、JavaScriptも定期的に新機能が追加されています。

バージョンの名前を覚えよう

JavaScriptのバージョンには、いくつかの呼び方があります。

ES6 (ES2015): 2015年にリリースされた大幅アップデート
ES2016: 2016年版（ES7とも呼ばれる）
ES2017: 2017年版（ES8とも呼ばれる）
ES2018: 2018年版（ES9とも呼ばれる）
ES2019: 2019年版（ES10とも呼ばれる）
ES2020: 2020年版（ES11とも呼ばれる）

ES6が特に有名なのは、それまでのJavaScriptを大きく変える機能がたくさん追加されたからです。

ES6（ES2015）の革新的な新機能

let と const で変数宣言が安全に

従来のvarに代わる、より安全な変数宣言方法が追加されました。

// 従来の書き方（ES5以前）
var name = "田中";
var age = 25;

// 新しい書き方（ES6以降）
let name = "田中";      // 変更可能な変数
const age = 25;        // 変更不可能な定数

varの代わりにletとconstを使い分けます。

続けて、実際の動作を確認してみましょう。

// constは再代入できない
const pi = 3.14;
// pi = 3.141;         // エラーになる

// letは再代入可能
let score = 80;
score = 90;            // 問題なし

constは値が変わらない場合、letは値が変わる可能性がある場合に使います。

アロー関数で書き方がスッキリ

関数をより短く書ける記法が追加されました。

// 従来の書き方
function add(a, b) {
    return a + b;
}

// アロー関数の書き方
const add = (a, b) => {
    return a + b;
};

// さらに短く（一行の場合）
const add = (a, b) => a + b;

アロー関数を使うと、コードがすっきりします。

配列処理での使用例も見てみましょう。

// 使用例
const numbers = [1, 2, 3, 4, 5];

// 従来の書き方
const doubled = numbers.map(function(num) {
    return num * 2;
});

// アロー関数を使った書き方
const doubled = numbers.map(num => num * 2);

console.log(doubled);  // [2, 4, 6, 8, 10]

アロー関数を使うと、コードがより読みやすくなります。

テンプレートリテラルで文字列作成が簡単に

文字列の中に変数を埋め込みやすくなりました。

const name = "田中";
const age = 25;

// 従来の書き方
const message = "こんにちは、" + name + "さん。年齢は" + age + "歳ですね。";

// テンプレートリテラルを使った書き方
const message = `こんにちは、${name}さん。年齢は${age}歳ですね。`;

console.log(message);  // "こんにちは、田中さん。年齢は25歳ですね。"

バッククォート（`）を使うことで、文字列の作成がとても楽になります。

複数行の文字列も簡単に作れます。

// 複数行の文字列も簡単
const html = `
<div>
    <h1>${name}のプロフィール</h1>
    <p>年齢: ${age}歳</p>
</div>
`;

HTMLテンプレートの作成などでとても便利ですね。

分割代入で値の取り出しが簡単に

配列やオブジェクトから値を取り出すのが簡単になりました。

// 配列の分割代入
const colors = ["赤", "青", "緑"];

// 従来の書き方
const first = colors[0];
const second = colors[1];

// 分割代入を使った書き方
const [first, second, third] = colors;
console.log(first);   // "赤"
console.log(second);  // "青"
console.log(third);   // "緑"

配列の場合は角括弧を使って分割代入を行います。

オブジェクトの分割代入も見てみましょう。

// オブジェクトの分割代入
const person = {
    name: "田中",
    age: 25,
    city: "東京"
};

// 従来の書き方
const name = person.name;
const age = person.age;

// 分割代入を使った書き方
const {name, age, city} = person;
console.log(name);    // "田中"
console.log(age);     // 25
console.log(city);    // "東京"

オブジェクトの場合は波括弧を使って、プロパティ名で値を取り出します。

ES2017（ES8）の便利な新機能

async/awaitで非同期処理がわかりやすく

非同期処理をより分かりやすく書けるようになりました。

// 従来の書き方（Promise）
function getData() {
    fetch('/api/data')
        .then(response => response.json())
        .then(data => {
            console.log(data);
        })
        .catch(error => {
            console.error(error);
        });
}

// async/awaitを使った書き方
async function getData() {
    try {
        const response = await fetch('/api/data');
        const data = await response.json();
        console.log(data);
    } catch (error) {
        console.error(error);
    }
}

async/awaitを使うと、非同期処理が同期処理のように読みやすくなります。

より実用的な例も見てみましょう。

// より実用的な例
async function loadUserProfile(userId) {
    try {
        // ユーザー情報を取得
        const userResponse = await fetch(`/api/users/${userId}`);
        const user = await userResponse.json();
        
        // 投稿情報を取得
        const postsResponse = await fetch(`/api/users/${userId}/posts`);
        const posts = await postsResponse.json();
        
        return {
            user: user,
            posts: posts
        };
    } catch (error) {
        console.error("データの取得に失敗しました:", error);
        return null;
    }
}

複数のAPI呼び出しを順番に実行する場合でも、コードが読みやすくなります。

ES2018（ES9）の実用的な新機能

スプレッド演算子（オブジェクト）でコピーと結合が簡単に

オブジェクトのコピーや結合が簡単になりました。

const user = {
    name: "田中",
    age: 25
};

// オブジェクトのコピー
const userCopy = {...user};
console.log(userCopy);  // {name: "田中", age: 25}

// プロパティの追加
const userWithCity = {
    ...user,
    city: "東京"
};
console.log(userWithCity);  // {name: "田中", age: 25, city: "東京"}

...（スプレッド演算子）を使って、オブジェクトを展開できます。

複数のオブジェクトの結合も簡単です。

// 複数のオブジェクトを結合
const basicInfo = {name: "田中", age: 25};
const contactInfo = {email: "tanaka@example.com", phone: "090-1234-5678"};

const fullProfile = {
    ...basicInfo,
    ...contactInfo
};
console.log(fullProfile);
// {name: "田中", age: 25, email: "tanaka@example.com", phone: "090-1234-5678"}

オブジェクトの操作がとても簡潔に書けるようになります。

ES2020（ES11）の安全な新機能

Optional Chainingで安全なプロパティアクセス

存在しない可能性があるプロパティに安全にアクセスできます。

const user = {
    name: "田中",
    address: {
        city: "東京",
        zipCode: "123-4567"
    }
};

// 従来の書き方（エラーチェックが必要）
let zipCode;
if (user && user.address && user.address.zipCode) {
    zipCode = user.address.zipCode;
}

// Optional Chainingを使った書き方
const zipCode = user?.address?.zipCode;
console.log(zipCode);  // "123-4567"

?.演算子を使うことで、プロパティが存在しない場合でもエラーになりません。

存在しないプロパティの場合を見てみましょう。

// 存在しないプロパティの場合
const country = user?.address?.country;
console.log(country);  // undefined（エラーにならない）

// 配列でも使用可能
const users = [
    {name: "田中", posts: [{title: "記事1"}, {title: "記事2"}]},
    {name: "佐藤"}  // postsプロパティがない
];

const firstPostTitle = users[0]?.posts?.[0]?.title;
console.log(firstPostTitle);  // "記事1"

const secondUserFirstPost = users[1]?.posts?.[0]?.title;
console.log(secondUserFirstPost);  // undefined

配列の要素へのアクセスでも安全にチェックできます。

Nullish Coalescingでデフォルト値を適切に設定

nullやundefinedの場合のみデフォルト値を使う演算子です。

// 従来の書き方（問題がある場合）
const userName = user.name || "ゲスト";
// 問題: user.nameが空文字("")や0の場合でも"ゲスト"になってしまう

// Nullish Coalescingを使った書き方
const userName = user.name ?? "ゲスト";
// null または undefined の場合のみ"ゲスト"になる

??演算子は、nullまたはundefinedの場合のみデフォルト値を使用します。

具体的な動作例を見てみましょう。

// 例
const examples = [
    {value: null, result: null ?? "デフォルト"},         // "デフォルト"
    {value: undefined, result: undefined ?? "デフォルト"}, // "デフォルト"
    {value: "", result: "" ?? "デフォルト"},              // ""
    {value: 0, result: 0 ?? "デフォルト"},                // 0
    {value: false, result: false ?? "デフォルト"}         // false
];

examples.forEach(example => {
    console.log(`${example.value} ?? "デフォルト" = ${example.result}`);
});

空文字や0、falseの場合はそのまま残り、nullやundefinedの場合のみデフォルト値が使われます。

実際の開発での活用方法

モダンなJavaScriptの書き方を習得しよう

現在の開発では、これらの新機能を組み合わせて使うのが一般的です。

// モダンなJavaScriptの例
class UserService {
    constructor(apiUrl) {
        this.apiUrl = apiUrl;
    }
    
    // async/awaitを使った非同期処理
    async getUser(userId) {
        try {
            const response = await fetch(`${this.apiUrl}/users/${userId}`);
            
            if (!response.ok) {
                throw new Error(`HTTP error! status: ${response.status}`);
            }
            
            const user = await response.json();
            return this.formatUser(user);
        } catch (error) {
            console.error("ユーザー情報の取得に失敗:", error);
            return null;
        }
    }
    
    // 分割代入とスプレッド演算子を活用
    formatUser(rawUser) {
        const {id, name, email, profile = {}} = rawUser;
        const {age, city} = profile;
        
        return {
            id,
            name,
            email,
            // Optional Chainingを使用
            displayName: profile?.displayName ?? name,
            location: city ?? "不明",
            // テンプレートリテラルを使用
            summary: `${name}さん（${age ?? "年齢非公開"}）- ${city ?? "居住地不明"}`
        };
    }
}

ちょっと長いコードですね。でも大丈夫です！一つずつ見ていきましょう。

まず、クラスの定義部分から。

class UserService {
    constructor(apiUrl) {
        this.apiUrl = apiUrl;
    }

ES6のクラス構文を使ってUserServiceクラスを定義しています。 constructorでAPIのベースURLを受け取って保存します。

次に、async/awaitを使った非同期処理を見てみましょう。

async function getUser(userId) {
    try {
        const response = await fetch(`${this.apiUrl}/users/${userId}`);
        const user = await response.json();
        return this.formatUser(user);
    } catch (error) {
        console.error("ユーザー情報の取得に失敗:", error);
        return null;
    }
}

async関数内でawaitを使って、非同期処理を同期的に書いています。テンプレートリテラルでURLを組み立てているのもポイントです。

配列処理での活用例

アロー関数と組み合わせた配列処理も見てみましょう。

// アロー関数を使った配列処理
async getUsersList() {
    const users = await this.getUsers();
    
    return users
        ?.filter(user => user.active)
        ?.map(user => this.formatUser(user))
        ?.sort((a, b) => a.name.localeCompare(b.name));
}

// 使用例
const userService = new UserService('/api');

async function displayUserProfile(userId) {
    const user = await userService.getUser(userId);
    
    if (user) {
        const profileHtml = `
            <div class="user-profile">
                <h2>${user.displayName}</h2>
                <p>Email: ${user.email}</p>
                <p>Location: ${user.location}</p>
                <p>${user.summary}</p>
            </div>
        `;
        
        document.getElementById('profile-container').innerHTML = profileHtml;
    }
}

Optional Chainingでusersが存在しない場合も安全にチェックしています。テンプレートリテラルでHTMLを生成しているのも実用的ですね。

学習のコツとおすすめ順序

優先して覚えるべき機能

初心者の方は、以下の順序で学習することをおすすめします。

let/const: 基本的な変数宣言
アロー関数: 関数の短縮記法
テンプレートリテラル: 文字列の作成
分割代入: 配列・オブジェクトからの値取得
スプレッド演算子: 配列・オブジェクトの操作
async/await: 非同期処理
Optional Chaining: 安全なプロパティアクセス

これらを段階的に覚えていけば、モダンなJavaScriptが書けるようになります。

実践的な学習方法

理論だけでなく、実際にコードを書いて練習することが重要です。

// 練習用のサンプルコード
const students = [
    {name: "田中", scores: {math: 85, english: 92}},
    {name: "佐藤", scores: {math: 78, english: 88}},
    {name: "鈴木", scores: {math: 95}}  // englishスコアがない
];

// モダンJavaScriptを使った処理
const calculateAverages = (students) => {
    return students.map(student => {
        const {name, scores} = student;
        const mathScore = scores?.math ?? 0;
        const englishScore = scores?.english ?? 0;
        const average = (mathScore + englishScore) / 2;
        
        return {
            name,
            average,
            summary: `${name}さんの平均点: ${average}点`
        };
    });
};

const results = calculateAverages(students);
console.log(results);

この例では、分割代入、Optional Chaining、Nullish Coalescing、テンプレートリテラルを組み合わせて使っています。

まとめ

JavaScriptのバージョンアップにより、より読みやすく、書きやすいコードが書けるようになりました。

重要なポイントをおさらい

今回学習した主要な機能を確認しましょう。

let/const: より安全な変数宣言
アロー関数: 簡潔な関数記法
テンプレートリテラル: 文字列作成の改善
分割代入: 値の取り出しが簡単
async/await: 非同期処理の改善
Optional Chaining: 安全なプロパティアクセス

これらの機能を理解することが重要です。

学習の進め方

以下のステップで段階的に学習していきましょう。

基本機能から始める: let/const、アロー関数
実際にコードを書く: 練習用のサンプルで実装
組み合わせて使う: 複数の機能を連携
実用的な例で確認: 実際の開発に近い形で練習

特にES6以降の機能は、現在の開発現場では標準的に使われているため、初心者の方でも積極的に学習することをおすすめします。

一度に全てを覚える必要はないので、まずは基本的な機能から始めて、徐々にマスターしていきましょう。ぜひ今日から、モダンなJavaScriptの書き方にチャレンジしてみませんか？

JavaScriptのバージョンとは？初心者向けにES6以降の違いを解説

JavaScriptのバージョンとは？初心者向けにES6以降の違いを解説

JavaScriptのバージョンって何？基本を理解しよう

JavaScriptの正式名称を知ろう

バージョンの名前を覚えよう

ES6（ES2015）の革新的な新機能

let と const で変数宣言が安全に

アロー関数で書き方がスッキリ

テンプレートリテラルで文字列作成が簡単に

分割代入で値の取り出しが簡単に

ES2017（ES8）の便利な新機能

async/awaitで非同期処理がわかりやすく

ES2018（ES9）の実用的な新機能

スプレッド演算子（オブジェクト）でコピーと結合が簡単に

ES2020（ES11）の安全な新機能

Optional Chainingで安全なプロパティアクセス

Nullish Coalescingでデフォルト値を適切に設定

実際の開発での活用方法

モダンなJavaScriptの書き方を習得しよう

配列処理での活用例

学習のコツとおすすめ順序

優先して覚えるべき機能

実践的な学習方法

まとめ

重要なポイントをおさらい

学習の進め方

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